平方完成(2次関数)は これで必ずできる!くくって完全平方式を取り出すだけ。
[ 数Ⅰ ] 「2次関数」で学習する、
2次関数の式を
「グラフの描きやすい」形の式(標準形と呼ばれる)に直すための計算。
それが、平方完成です。
上位 2項だけくくり
↓
(カッコの中から) 完全平方式を取り出す
ー という、たった ツーステップ 2つの手順 で できます。
この計算を乗り超えるかどうかが、この後の「2次関数」そして数 ⅠA に 自信が持てるかどうかを決めると言っても過言ではない所です。
攻略するとしましょう。
まず、上位2項だけくくる。係数で。
「くくる」【括る】 というのは、よく出てくる言葉です。
確認しておきましょう。
それは カッコでまとめる という意味です。
例えば \( 2x^2 +4x\,=\,2\,(x^2 +2x)\) の 左辺→右辺
のような。
そして、「上位2項」とは …
式 (きちんと言うと、整式 とか 多項式) では、
次数が上の・高い 項の順つまり、降べきの順 に注目される、ということがあります。
そこで降べきの順に見たとき、
これらのことを指します。
ここで扱う式は、2次式。
2次, 1次, 定数項(0次) の 3つの項があり、
そのうち、上位2項だけをくくるのです。
$$\Large{2x^2-4x+6=2\,(x^2-2x)+6}$$
というように。
\(2x^2-4x+6=2\,(x^2-2x+3)\) というふうには しない ようにします。
係数で。正確には「2次の係数で」くくっています。
「係数」とは
… 項の中の「かけられている数」の部分のことでした。
だから計算は可能でも、
\(2x^2-4x+6=2x\,(x-2)+6\) とはしません。
2次の係数で、上位の2項だけ、くくる
ー 1つ練習してみましょう。どんな数値でも対応できるよう、数値は少し難しくしました。
[ 問1 ] \( -\dfrac{\,2\,}{3\,}x^2+3x+1 \) ?
こうやります。
式のすぐ分かる所だけ先に
\(=-\dfrac{\,2\,}{3}\, \left( \,x^2 +\Box\,x \, \right)+1 \)
と考えておき、横の余白で計算する手順です。
\(\Box\) が、カッコを外したとき
\(-\dfrac{\,2\,}{3}\times\Box=3\) だから、かける の逆、割って、\(\Box\) を求める、
計算は横の余白で筆算し、出た答えを記入します。
符号は、初めに決めてしまっても良いでしょう。
係数 \(a\,,\,b\,,\,c\) で表して、今の手順をまとめますと、
2次の係数で、上位の2項だけ、くくる:
ただし2次式なので、\(a\neq\,0\) です。
次、カッコの中から完全平方式を取り出す
次いで、先ほど くくった、カッコの中身について計算を進めていきます。
この 公式を使用します:
赤いカッコが、くくって できた カッコです。
覚える場合は、つけたまま覚えるようにしてください。
例えば、
\((\,\,x^2-6x\,)=\{\,\,(x-3)^2 -9\,\,\}\) というように。
「6」は偶数なので 計算しやすいですが、たとえ奇数や分数の場合でも、同じように計算できなければいけません。
「半分」、「半分にして2乗」と
覚えましょう。「半分」とはすなわち、
「かける2分の1」です。
慣れてきたら、今の例のように カッコの外に何もない場合は、外側のカッコや中カッコは、省略してよいでしょう。
この公式は、どうやって導かれるか?
実は、中学の時、こういうことをやったと思います。
「\(x^2 -6x+\Box = (x-\Box\,)^2\) の □ をうめなさい。
ただし2つの □は 同じ数ではない。」
右辺のような カッコの2乗の形の式は 完全平方(式) と呼ばれるのでした。
中3の 乗法公式 の1つにも出てきました。
\((a+b)^2 =a^2 +2ab+b^2 \) 、文字を変えて見ると
「 \(2p\) 」をもとにして、\(2p\mapsto p\mapsto p^2\) 。これって
「半分にして 2乗」ではないですか? これで
「\(x^2 -6x+\Box = (x-\Box\,)^2\) 」にも解答できます。
9,3 と。
この完全平方式、左右辺 逆さにして、見ます。
その式をもとに、移項してみます。
ちなみに、等式であれば 何でもいつでも、移項 というものは、できます。
すると、
そこで、\(2p=m\) とおいたら。今の公式になっていないですか?。
再掲しましょう。
公式の正当性が分かったので、公式を使って、[ 問1 ] で出した計算の続きをやってみましょう。
[ 問2 ] \( \left( \,\,x^2 -\dfrac{\,9\,}{2}\,x\,\, \right) \) の計算の続きをしなさい。
[ 解 ] あえてカッコをつけておきました。
完全平方式が出てきて、残った部分が差になっている、
完全平方式を取り出す公式 と言えますね。
もちろん、\(m\,(\,=\,2p\,)\) が負の数であれば、\((\,x\,-\,\dotsm\,)^2\) となります。
最後に、中カッコ だけ 外すこと
[ 問1 ], [ 問2 ] 通しで計算すると、結局、
\( -\dfrac{\,2\,}{3\,}x^2+3x+1\,=\, -\dfrac{\,2\,}{3\,} \left( \,x^2-\dfrac{\,9\,}{2}\,x\, \right) +1\)
\(=\,-\dfrac{\,2\,}{3\,} \left\{ \,\left( \,x-\dfrac{\,9\,}{4}\, \right) ^2-\dfrac{81}{16}\, \right\}+1\)
ー という式にまで到達します。
これで平方完成完了と言いたいところですが、最後の詰め を1点だけ。(2ステップに含みませんでしたが。)
最後に 中カッコ { … } だけ 外してください。
内側のカッコはそのままです。
上の式は 以下のように、最後まで計算し、
\(=\,-\dfrac{\,2\,}{3}\,\left( \,x-\dfrac{\,9\,}{4}\, \right) ^2 +\dfrac{\,2\,}{3}\times\dfrac{81}{16}+1\)
\(=\,-\dfrac{\,2\,}{3}\,\left( \,x-\dfrac{\,9\,}{4}\, \right) ^2 +\dfrac{35}{8}\) .
ー まで行なって、完了です。
平方完成の まとめ
まとめると、2ステップ (または 2.5ステップ ) です。
- 係数で、上位の2項だけ、くくる
- カッコの中で、完全平方を取り出す公式を使う
- 最後、中カッコだけ、外す
もう1問、通しで、やってみましょう。数値は .. 複雑です。
[ 章末問題 ] \(y=\,-\dfrac{\,2\,}{5}\,x-3x+1\) の 平方完成 ?
[ 解 ]
① 上位2項でくくり (必要な計算は横で) → ② 完全平方を取り出す公式で (「半分」、「半分にして 2乗」です。) → (+.5) 中カッコ{…} だけ、外すー必要な途中計算は周りで行なってよいー
この手順で、複雑な数でも成し遂げられました。
注意点。上位2項とは言っても …
あくまでも、2次の項と1次の項 のことです。
例えば \(-\dfrac{\,2\,}{3}\,x^2+2\) だったら。
「上位2項」と言っても \(=\,-\dfrac{\,2\,}{3}\,(\,x^2-3\,)\) とはせず、
\(-\dfrac{\,2\,}{3}\,x^2+2\) のまま。既にくくれてる、と考えます。
1次の項は、ない場合も「 \(0\,x\) がある」と考えてください。
平方完成は、何の役に立つの?
- 2次関数の標準形。頂点が分かる形にすること
- 2次方程式の解の公式
は、教科書にも載っている用途です。その他、
・不等式の証明で、0以上になる式の形(2乗の和)を作るため
にも使われます。「相加相乗平均」の証明もそうですね。
平方完成という計算は、展開 それとも 因数分解 どっち?
そのような質問が出ました。
その答えは、どちらでもないのです。
中3で出てきた「乗法公式」が有名です。
あれは確かに、展開と因数分解の計算ですが、平方完成では、それらを移項など変形させた形で使っているので、展開とも因数分解とも違った方向性の、計算方法と言えます。